研究成果|Research Output

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  • 2018.10.22雑誌論文|Journal papers
    小鳥の歌学習,日齢ではなく発声練習量が重要~自発的な発声練習の蓄積によって変化する神経活動依存的な遺伝子発現システム~

    本領域B01班研究分担者の和多和宏(北海道大学大学院理学研究院准教授)らによる共著論文 Vocal practice regulates singing activity–dependent genes underlying age-independent vocal learning in songbirds「小鳥の歌学習,日齢ではなく発声練習量が重要~自発的な発声練習の蓄積によって変化する神経活動依存的な遺伝子発現システム~」が米国のPLOS Biology誌に掲載されました(アメリカ東部時間2018年9月12日公開)。

    <要旨> 小鳥の音声発声学習(歌学習)に適した時期(学習臨界期)が,発声練習の経験量によって制御されていることを明らかにしました。
    ヒトの言語や小鳥の歌は,親など他個体の発声パターンをまねることで後天的に獲得され,これを発声学習といいます。発声学習には,学習が効率よく進む時期,すなわち学習臨界期(感受性期)があることが知られています。しかし,脳内で発声学習の臨界期が終了するメカニズムは殆どわかっていませんでした。
    小鳥の一種(鳴禽類(めいきんるい)スズメ亜目)のキンカチョウは,孵化後30~90日の約2カ月の間(学習臨界期)に1日数百回以上の発声練習を繰り返すことにより自分の歌を完成させ,完成した歌はその後一生涯維持されます。今回の研究ではこの学習臨界期が単に生まれてからの日数(日齢)で決まるのか,それとも発声練習行動の積み重ねにより制御されているのかを調べるため,学習臨界期中の自発的な発声練習を阻害する実験を行いました。その結果,発声練習を阻害した鳥は本来であれば学習ができなくなっているはずの成鳥になっても,幼鳥のような未熟な歌を出し,さらにその時点からでも発声学習ができることが明らかになりました。
    次に研究グループは,この発声経験による学習能力の変化が脳内でどのような分子メカニズムで制御されているのかを調べました。脳内で読みだされている遺伝子群を次世代シークエンスにより全ゲノムレベルで調べた結果,脳内の発声学習に関わる神経回路において,発声練習時にだけ読みだされ,発声練習の積み重ねにより読みだされにくくなっていく遺伝子の一群を発見しました。今回の結果は,発声練習行動がこれらの遺伝子の呼び出し調節を介して,学習臨界期を制御している可能性を示しています。

    著者:Shin Hayase, Hongdi Wang, Eri Ohgushi, Masahiko Kobayashi, Chihiro Mori, Haruhito Horita, Katsuhiko Mineta, Wan-chun Liu, Kazuhiro Wada

    掲載誌:PLOS Biology  https://doi.org/10.1371/journal.pbio.2006537

  • 2018.09.28雑誌論文|Journal papers
    Redefinition and sexual difference of contact calls in belugas (Delphinapterus leucas)

    本領域B01行動生物・公募班の研究者である森阪匡通(三重大学)らによる共著論文 Redefinition and sexual difference of contact calls in belugas (Delphinapterus leucas)「ベルーガのコンタクトコールの再定義と性差」が欧州の科学誌 Aquatic Mammals に掲載されました。

    <概要>群れを作るイルカの仲間は、光が乏しい海でお互いにばらばらにならないように、お互い音を出し合ってコミュニケーションをしています。森阪匡通准教授が率いる研究グループは、ベルーガにおいて、そのような鳴音(めいおん)を発見し、その詳細を研究してきました。今回の研究では、世界中の研究者によって報告されているベルーガの様々な鳴音のうち、お互いが鳴き交わしに用いている鳴音(コンタクトコール)の定義を拾い出し、さらに新たに、しまね海洋館アクアスで飼育されているベルーガ(写真)7頭の鳴音を調べることにより、ベルーガのコンタクトコールをCreaking Call(ギー音)としてすべてまとめて再定義しました。

    このギー音は、個体ごとに異なり、赤ちゃんの頃は決まっていないのですが、だんだん固定して自分 のタイプを持つ様になります。他個体がギー音を発したら、1秒以内に誰かがそれに返事をするというルールがありました。もし1秒以内に返事をもらえなかったら、自分でもう一度出すことも多くありました。

    さて、メスのベルーガや若いオスは自分のギー音しか出さないのです が、成熟したオスは他のオスと同じギー音を出すことがありました。どうして成熟オスのみ他のオスと同じギー音を出すことがあるのかはわかりませんが、ベルーガのオスの社会に関係していると考えられます。オスは成熟すると、生まれ育ったグループを出てオス同士で同盟を作ります。このときにオスのギー音が多様になるのかもしれません。今後はそのような社会関係とギー音の使い方の関係を調べていきたいと考えています。

    論文:Mishima Y1, Morisaka T2, Mishima Y3, Sunada T3, and Miyamoto Y4 (2018) Redefinition and sexual difference of contact calls in belugas (Delphinapterus leucas). Aquatic Mammals, 44: 538-554. Doi: 10.1578/AM.44.5.2018.538 現所属1 東京大学大気海洋研究所 2三重大学大学院生物資源学研究科附属鯨類研究センター(責任著者) 3島根県立しまね海洋館アクアス 4東京海洋大学学術研究院海洋資源エネルギー学部門

    三重大学大学院生物資源研究科 付属鯨類研究センター HP

  • 2018.02.23雑誌論文|Journal papers
    Nasalization by Nasalis larvatus: Larger noses audiovisually advertise conspecifics in proboscis mon

    本領域B01班分担研究者の香田啓貴助教(京都大学霊長類研究所)と中部大学松田一希准教授らによる共著論文 Nasalization by Nasalis larvatus: Larger noses audiovisually advertise conspecifics in proboscis monkeys「大きな鼻が男前?なぜテングザルの鼻は長いのか」が米国の科学誌 Science Adanvces(2018年2月22日午前4時オンライン)に掲載されました。

    <要旨> 動物の世界で派手なのは雄です.派手な装飾的な形態は,メスをめぐるオスの争い,すなわち性選択によって進化したと考えられており,形態や行動などの生物形質を急速に進化させる進化原理の一つです.テングザルは、名前の由来にもなっている天狗のように長く大きな鼻が特徴的なサルですがなぜこのような奇妙な形態進化をとげたのかは大きな謎でした.今回,テングザルの鼻サイズと様々な生物学的要素との関連性を調べ,霊長類の雄に特徴的な「男らしさ」の進化過程において,形態やコミュニケーション,社会生態学的な要素が相互作用し鼻の肥大化を加速させる進化シナリオについて提案しました.

    論文タイトル: Nasalization by Nasalis larvatus: Larger noses audiovisually advertise conspecifics in proboscis monkeys

    著者:H. Koda, T. Murai, A. Tuuga, B. Goossens, S. KSS. Nathan, D. J. Stark, D. A. R. Ramirez,J. C. M. Sha, I. Osman, R. Sipangkui, S. Seino, I. Matsuda

    掲載誌:Science Advances Doi:10.1126/sciadv.aaq0250

    研究情報詳細

    京都大学広報